つかむ!ジャーナリストの目で。川村範行 名古屋外国語大学 外国語学部 特任教授 日中関係論、現代中国論、メディア論、日中メディア比較論

中華人民共和国駐名古屋総領事へ表敬訪問 総領事「日中関係は今年後半回復」

                                2013年6月28

中華人民共和国駐名古屋総領事へ表敬訪問

総領事「日中関係は今年後半に回復」

 

名古屋外国語大学特任教授 川村範行

 

東海日中関係学会の会長に就任したのを機に、6月28日、名古屋総領事館へ庵原孝文副会長と表敬訪問し、張立国総領事と日中関係の現状・今後について意見交換しました。張総領事は「日中関係は今年後半に回復する」との見通しを示しました。意見交換の要旨は次の通りです。康曉雷副総領事、馬興無領事、劉丙鑫領事アタッシュが同席。

1、東海日中関係学会の今後の活動方針4点を説明した。

  ①客観的・実証的な日中関係の研究考察を基にタイムリーな公開研究会活動を年3回以上実施し、一般市民に日中関係への理解を深めてもらう。

  ②関係団体・地元大学などとの連携・協力を進める。

  ③中国中日関係史学会などと国際シンポジウムの共催を通じて、学術文化交流を進める。

  ④可能なら日中関係改善のための政策提言を行う。これに対し、総領事は「東海日中関係学会の活動を重視しており、さらなる発展を希望するとともに、関係を深めていきたい」と述べた。

2、総領事からは以下のような提案があった。

  ①東海日中関係学会が中心となり関係団体との共催により丹羽宇一郎元中国大使の講演会を名古屋で実現してほしい。丹羽元大使は尖閣諸島国有化問題について日中関係悪化を懸念し、事前に警鐘を鳴らしていた。

  ②学会理事と総領事館のメンバーとで8月に懇談の機会を持ち、日中関係について率直な意見交換をしたい。

3、総領事は「日中関係は今年後半に回復する」との見通しを次のように示した。

  ①6月上旬のオバマ大統領・習近平国家主席の首脳会談においてで、尖閣諸島の領有権問題を巡る日中両国の対立についてアメリカから注文がついた。安倍首相も考え直しており、近く中国へ2人を派遣し糸口を探るようだ。

  ②日本側が「領有権を巡り日中間に係争がある」ことを認めないと、中国もメンツが立たない。話し合いに入れない。

  ③日本企業は尖閣国有化以降、チャイナリスクを理由にミヤンマーへと触手を伸ばしているが、ミヤンマーでは既に中国が土地買収など済ませており、日本に不利な条件下にある。また、東南アジアで経済活動を進めるには華僑の協力が不可欠であり、中国との対立はマイナスになる。

  ④このまま、日中対立が長引けば経済貿易のうえで日本に不利な状況になる。中国はアメリカやドイツ、フランスなどを相手に影響は少ないが、日本は深刻な影響を受ける。

  ⑤貿易額において米中は日中を凌いでいる。またオバマ・習近平首脳会談により来年には米中合同軍事演習を行う計画も出てきた。米中関係は強まっている。

  ⑥韓国も朴槿恵大統領が6月下旬に訪中し、対中重視の姿勢を示し、中韓関係が強まった。朴大統領は孔子=論語の研究家で中国語にも堪能。北京の清華大学で中国語で講演した。

4、最近の国民感情の問題について意見を交わした。

  ①日本政府の外交調査では2012年、中国に親近感を持たない人が80%と調査史上最悪になった。対中好感度は1980年に78.8%と最高水準だったが、逆転した格好だ。2010年9月の尖閣諸島海域での中国漁船衝突事件、さらに2012年9月の尖閣国有化以降の激しい反日デモが原因とみられる。日本のこうした「空気」は広がっており、中国に理解を示す言動が批判される傾向にある。一般国民はメディアの一方的な情報の影響があり、中国への無知、無理解もある。学会では中国や日中関係について事実に基づく客観的な情報を提供する公開研究会活動に力を入れ、国内世論の改善に尽くしたい。

  ②中国においても同様である。楊振亜元駐日大使が日本寄りの発言をしたとしてネットで批判された。日本関係の外交官は中国外交部内で昔は尊敬されたが、今は冷ややかな扱いを受けている。今春に上海から船で日本へ観光に来た中国人ツアー客が帰国後にネットで非難された。しかし、総領事館の担当地域へ訪問すると一般の日本人から親しく歓迎を受けている。こうした交流を促進したい。