つかむ!ジャーナリストの目で。川村範行 名古屋外国語大学 外国語学部 特任教授 日中関係論、現代中国論、メディア論、日中メディア比較論

日中関係打開のための緊急提言

川村範行・名古屋外国語大学特任教授

 

  尖閣諸島の領有権を巡る日中両国の対立緊張関係は憂慮できない状況にあります。このため全国の大学教授有志7名が連名で、日中対立状態打開のための5項目を提言する「日中関係打開のための緊急提言」を1月31日までに、安倍晋三・内閣総理大臣(秘書官宛郵送)、岸田文雄外務大臣、程永華大使の三名宛に提出しました。

  7名は早稲田、愛知、名古屋外国語、中央の4大学所属。内容は、日中両国政府が早期に首脳会談を開催するとともに、政府間レベル会議での包括的な話し合いにより、大局的見地から打開に向けて進むための方策を訴えています。

  提言文作成の中心となった高橋五郎・愛知大学国際中国学研究センター所長と私の2名が1月30日に外務省(中国・モンゴル第一課・遠山地域調整官が応対)、中国大使館(郭燕公使が応対)を訪問して文書を手渡し、要望しました。両者からは大臣、大使にそれぞれ提言書を伝え対応するとの確約を得ました。

  緊急提言のきっかけは、昨年12月9日、愛知大学で全国の現代中国・日中関係の学者・研究者14名(8大学・2機構、うち中国人4名)が日中関係打開のための緊急研究集会を開催し、政治・外交・国際関係・歴史・文化など総合的な見地から討議しました。その結果を社会に向けて発信するため緊急提言をまとめ上げました。

  尖閣問題に関し全国的な学者レベルで本格的な研究集会を踏まえた緊急提言の行動は初めて。アジアの平和と安定に影響する日中関係の早期改善を切に願う学者有志の志の表れを広めるよう働きかけています。

  中国側でも学者有志が建議を出しているとの情報を聞いています。双方が連動して声を挙げ、厳冬の日中関係に春風を呼ぶ一助になればと祈ります。

  以下、日中両国政府がとるべき具体的な対策を提言しました。

1.日中首脳は早急に会談を行い、2008年5月の「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する日中共同声明」を確認し合い、尖閣(中国名・釣魚島)諸島については相互利益に基づく対応を行う。

2.日本政府は尖閣(中国名・釣魚島)諸島3島をめぐる2012年9月の「閣議決定」の履行に伴う3島の現状変更(建設・常駐などの行為)を行わない。

3.尖閣諸島は日本の「実効支配」にあるという現実を日中双方が尊重しながら、今後如何なる枠組みが望ましいのかを協議するための日中政府レベル会議を開催する。

4.日中両国政府は、この件によって停滞している日中経済交流及び日中民間交流を早急に元に戻す。

5.当該島嶼の海底資源をめぐる問題に関しては、2008年5月の「福田康夫首相・胡錦濤国家主席合意」を再確認し、平和的な協議のための日中政府レベル会議を設置し、2012年5月開設の日中高級事務レベル海洋協議の再開なども念頭に、包括的な合意形成のために具体的かつ粘り強い協議を開始する。