ジャーナリスト訪中団

訪中団の経緯

小泉純一郎首相が2001年から2006年にかけて毎年、A級戦犯が祭られている靖国神社に参拝したため、中国・韓国が繰り返し反対を表明し、日中関係は首脳交流の停止など政治外交面の停滞を招いた。歴史認識問題に根差す、日中国交正常化以来最悪の「政冷経熱」状態をどうしたら打破できるか、中国側も模索した。

中国側から日本のジャーナリストに忌憚のない意見を聞きたいとの要請が川村の知人(毛沢東・周恩来時代から中国滞在の日本人M氏)を介してあり、親しい中国特派員経験者に参加を呼び掛けた。

中日友好協会の招聘により、2004年に第1回記者訪中団(5社5名、東京・西日本・北海道・朝日各新聞社とTBS)が実現。2005年、2006年と派遣。(川村の名古屋転勤により一時中断)。2009年に再開し、2010年、2011年(10社11名)、2012年と通算7回継続している。

日中間の対話メカニズム(サブトラック)として実績が定着する。

主な訪中活動

現在は日中関係の課題についての突っ込んだ意見交換及び中国の政策過程など現状把握が主な趣旨。

基本的に中国駐在記者とは別待遇により、オフレコを重視する。

中国に対し客観的、是々非々の立場で臨む。中国側も評価している。

1.党・政府関係機関との座談会・懇談
中国外交部(対日政策担当者)
国務院発展改革研究センター(第12次5カ年計画担当者)
国務院新聞弁公室(副主任クラス)
2.日中関係・対日政策に関する座談会・意見交換
中国最大のシンクタンク、中国社会科学院日本研究所
(所長はじめ政治外交各方面幹部)

中国公安部シンクタンク、中国現代国際関係研究院日本研究所(所長はじめ幹部)
中日友好協会(会長、副会長、秘書長、部長ほか)
3.要人会見
唐家璇・元国務委員・外交部長(現中日友好協会)

4.地方視察
2012年 河北省曹妃甸(国家級ハイテク開発区)・唐山(国家級港湾建設)

2011年 四川省(四川大地震復興現場)

2010年 河南省(新農村建設プロジェクト・新鄭州市建設)

2006年 北京五輪建設現場ほか

2005年 山東省(農業生産・輸出加工基地)

2004年 河北省西柏坡(中国共産党革命聖地)

日中間の対話メカニズム(サブトラック)として実績が定着する。

訪中団の構成

当初は中国側が中国駐在経験者を希望、窓口代表役の川村が新聞・通信、テレビ各社の特派員・論説委員仲間に声をかけて結成。その後、各社OB(主に大学教授クラス)も参加。2011年から中国側の要請により産経新聞社に拡大。

2012年の第7回訪中団は10社11名参加

(中日・朝日・読売・北海道・産経・共同・NHK・TBS・テレビ朝日・毎日放送)。

つかむ!ジャーナリストの目で。川村範行(かわむら のりゆき) 名古屋外国語大学 外国語学部 特任教授 日中関係論、現代中国論、メディア論、日中メディア比較論

中国外交部新聞司の幹部と
=2011年7月、北京の中国外交部で

つかむ!ジャーナリストの目で。川村範行(かわむら のりゆき) 名古屋外国語大学 外国語学部 特任教授 日中関係論、現代中国論、メディア論、日中メディア比較論

中国現代国際関係研究院日本研究所の幹部と=2012年8月、北京の同研究院で

訪中内容の報道・発表

オフレコ以外は基本的に報道発表可能(当初2-3年は全てオフレコだった)。

例=2010年は唐家璇会見、河南省視察内容などを報道した。

ほかに日本国内の学会研究会・雑誌発表・講演会で引用している。

(2010年から中国側の要望により、日本での報道・発表内容を中日友好協会へ知らせている)