武漢大学主催の戦後80周年記念国際シンポジウムで日本人唯一の招聘講演
「第二次世界大戦・抗日戦争勝利八十周年記念国際学術シンポジウム」で招聘講演
(日中関係学会副会長兼東海日中関係学会会長)
第二次世界大戦・中国抗日戦争勝利八十周年記念国際学術シンポジウムが 2025 年 7 月 7、8 両日、中国武漢市内で開催され、日本からは唯一参加し、招聘講演を行った(下記写真)。 講演要旨は下段の通り。
武漢大学主催、中国第二次世界大戦史研究会共催、武漢大学国際問題研究院、武漢大学歴 史学院後援。
開催趣旨は、世界史全体の視点から世界反ファシズム戦争における中国抗日戦争の地位と 役割を検討するーことである。
日中戦争当時、首都南京陥落後に激しい武漢戦が行われた経緯などから、武漢大学が第二 次世界大戦・抗日戦争研究の拠点となってきた。研究の第一人者である胡徳坤・武漢大学前副 学長とは二十年近く交際し、武漢大学の客員研究員を務めた関係から、今回のシンポジウム に招聘を受けた。
国内外の学者・研究者・大学院生など約100名が参加し、中国国内から著名歴史学者など3 7名が登壇。米国、英国、ロシア、カナダ、インド、シンガポール、ブラジル、日本 8 カ国から代表 各 1 名が登壇。抗日戦争と第二次世界大戦ついて、中国内外の学者は概ね理性的な発言だっ たが、唯一“戦勝国”に囲まれた立場。改めて戦争と戦後を冷静に問い直す機会であった。
◇招聘講演「回顧80年歴程、面向未来永不再戦」 (要約)
(1)戦後80年間、日本が中国と戦火を交えず、日中関係が平和発展してきた事が貴重である。
①本国憲法第九条が朝鮮戦争、ベトナム戦争において“出兵”の重要な歯止めとなった。
②中国交正常化の共同声明と、それを法的に制度化した日中平和友好条約により、日中 “不戦平和”の基礎の役割を果たしてきた。
③中経済協力の発展が、日中関係の安定的発展のための礎石となった。
(2)しかし、最近、東アジアの安全保障をめぐり、米中対立の影響も受けて、日中両国は衝突や 紛争のリスクが懸念される。両国は衝突や紛争を防止し、不戦平和を継続すべきである。
①定期的首脳交流、外務・防衛交流、危機管理メカニズムの運用などを実施する。
②「日中不戦平和」と「東アジア不戦平和」に向けて、武力に依らない欧州安全保障協力機構 (OSCE)を参考に〈東アジア安全保障協力機構(東アジア版 OSCE)の構想と設立へ関係国 の協力を提起する。
③2500 年前の春秋戦国時代の思想家、墨子が提唱した「兼愛非攻」は専守防衛の立場に立つ。習近平主席が 2013 年に提唱した新理念「人類運命共同体」とも相通じる面がある。「日中不戦平和」「東アジア安全保障協力機構(東アジア版 OSCE)」は時空を超えて墨子の思想を 受け継ぐことにもなる。


招聘講演を行う筆者=中国武漢で
胡徳坤・武漢大学前副学長(中央)と筆者(左端)=中国武漢で
◇ 胡徳坤・中国第二次世界大戦史研究会名誉会長(元会長)、武漢大学前副学 長、国際問題研究院前院長、教授=上記写真(中央)=が基調講演を行った。(下記要旨)
(1)中国が積極的に世界の反ファシズム連合の成立を推進した。
1942 年 1 月 1 日、ワシントンで米英ソ中など反ファシズム国家 26 カ国が「連合国宣言」に 調印した際の中国の果たした役割などを説明。
(2)中国の長期にわたる抗日戦争が日本の北進戦略、南進戦略を阻み、世界の反ファシズム連 合に貢献した。
1931 年の“9・18 事変”(満州事変)に始まり、1945 年の日本降伏までが抗日戦争との捉 え方。 第二次世界大戦は人類をファシズムの侵略と暴政から解放する正義の戦いであり、人 類史上最も偉大な出来事の一つである。20世紀の世界史における転換点となり、人類の運命 を決定しただけでなく、戦後世界史の方向をも決定した。
中国は反ファシズム戦争に積極的に参加しただけでなく、世界反ファシズム4大国にもなっ た。戦後は国連の主要創設国かつ安保理常任理事国となった。
(*最近の中国政府の主張に繋がる。)
◇参考 トランプ2.0に対する中国政府の最近の主張
(1)第二次世界大戦後の国際秩序を維持する。
(2)国連憲章を支持し、主権尊重、覇権主義反対
(3)GATT(関税及び貿易に関する一般協定)による多角的自由貿易の維持推進
これら一連の主張は、「中国が世界反ファシズムに貢献した4大国であり、国連の主要創設国 且つ安保理常任理事国となった」(武漢大のシンポジウムで、中国側主張)と、歴史に遡って中 国の“正当性”を強調している。
◇反ファシズム戦争に於ける後方支援 「ファシズム勢力に対し直接的に交戦した国以外に、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの多くの国々は反ファシズム戦争において大きな後方支援をした。」(武漢大のシンポジウムで、中国 側主張)。
①インド・ビシュバ・バラティ大学中国学院院長:“タゴール”にみる反戦活動の考察を発表。
②ブラジル・ロンドリーナ大学准教授:ドイツによるブラジル、パナマ運河を標的とした戦略 に対する、ブラジル・ラテンアメリカ諸国の抵抗・対応を発表。
*現在、中国がトランプ 2.0 に対抗して、グローバルサウス、BRICS、ASEAN、上海協力機構(SCO)と連携強化の姿勢を見せる戦略にも繋がる。
◇ 日中戦争の戦後処理未解決問題を武漢大学のシンポジウムで中国側が提起
(1)河南大学の孫君健教授が、日本の戦後処理の未解決問題として、天皇の戦争責任、細菌戦 の犯罪責任、戦後賠償問題、領土問題(尖閣、竹島、北方領土、琉球帰属)などを指摘。歴史遺留問題の解決を提起した。
(2)中国社会科学院近代史研究所副所長の高国栄氏が、史料収集も含めて「日中歴史共同研 究」の推進を提起。
参考;2006 年~08 年、日中両国政府合意による「日中歴史共同研究」を初めて実施。 両 国の歴史学者計 10 名が論文・史料などを交換し、協議した。2010 年、中間報告書を発表(日 本で出版化、勉誠出版)。日中戦争については両論併記の方針を採った。南京大虐殺について も両論併記に。中国側が受け入れたのは画期的である。中国側見解「30 万人余り」、日本側見 解「20 万人を上限に 4 万人、2 万人など様々」。その後、日中戦争に関する新資料や証言が出 ており、日中歴史共同研究の続編を行う意義がある。
【現地報道】
“纪念第二次世界大战暨中国抗日战争胜利八十周年” 国际学术研讨会在武汉大学召开
长江云新闻 2025-07-08 22:33:37
2025 年 7 月 7-8 日,“纪念中国人民抗日战争暨世界反法西斯战争胜利 80 周年”国际学术 研讨会在武汉召开。本次会议由武汉大学主办,中国第二次世界大战史研究会协办,武汉大学 国际问题研究院和武汉大学历史学院承办。会议邀请了来自美国、日本、英国、俄罗斯、加拿大、 印度、巴西等国家的知名专家学者,以及国内中国社会科学院、北京大学、复旦大学、南京大学、 上海交通大学、中山大学、首都师范大学、华中师范大学、史迪威研究中心等十余所高校和科研 院所的专家近 60 人与会。
武汉大学人文社科资深教授胡德坤指出,世界反法西斯联盟是战时构建人类命运共同体的成 功典范,更是中国与世界各国合作共赢的杰出案例。首都师范大学历史学院荣誉资深教授徐蓝 从全球视角审视了中国的十四年抗战的意义,她认为第二次世界大战具有反法西斯的正义性 质,其胜利确立的基本原则,形成了制约和预防世界大战、促进全球经济社会发展的多维机制,
进而推动了战后世界的和平与进步。日中关系学会副会长、日本名古屋外国语大学教授川村范
行对战后日中关系的和平发展进程进行了回顾与分析。他倡导两国应重温邦交正常化的初衷,
重申“日中不再战”的原则,并借鉴法国与德国和解的历史经验,推动构建一个覆盖整个东亚地 区的“和平机制”。
随后,学者们围绕“战时中国与世界”、“战时问题研究”、“二战与战后秩序”等多个议题进行了 精彩发言、深刻探讨。印度国际大学中国学院院长阿维杰特·班纳吉教授、加拿大滑铁卢大学原 贵美惠教授、英国学术院院士、埃克塞特大学理查德·奥弗里教授、美国内华达大学拉斯维加斯 分校泰迪·乌德里克斯教授等分别以“泰戈尔和抗日战争”“帝国的崩溃:东亚边界变动与霸权重 组”“中国与世界危机 1931-1945”“强奸——日本的战争武器”等为题进行了大会发言。中国 世界近代现代史研究会会长梁占军教授、南京大学张生教授、北京大学历史系徐勇教授等多位 专家也都进行了精彩的发言。 会议闭幕式由武汉大学国际问题研究院院长助理关培凤教授主持,中国第二次世界大战史研 究会会长林利民教授做总结。林会长表示,此次盛会国内外学者济济一堂,会议讨论充分热烈, 涌现出许多新观点、新成果。报告中既有宏观、中观和微观的多维度研究,又将战时与战后二战 史的研究紧密结合,还兼具理论与实证研究的有机统一。
7 月 7 日是中国全民族抗日战争爆发 88 周年纪念日。值此时刻,举办纪念第二次世界大战暨 中国抗日战争胜利八十周年国际研讨会,意义重大。本次会议成功举办,不仅推动了二战史专
题研究的深入,也为进一步围绕中国抗日战争的地位与作用、中国共产党抗战的国际影响等议 题展开重点研讨提供了平台。与会的国内外专家们呼吁学界以史为鉴,贡献学术智慧,为东方 主战场的历史意义和维护战后国际秩序提供更多理论支持。
(长江云新闻记者 汪佳睿 唐清辉 通讯员 郁艳琴 万佳)
责任编辑 杨紫悦