日中関係修復のシナリオを提示 『日中「冬の時代」の行方』を出版
日中関係修復のシナリオを拙著で提示~
『日中「冬の時代」の行方 国交半世紀の歴史から見る現在地と出口』を出版
川村範行・名古屋外国語大学名誉教授
(元東京新聞・中日新聞 論説委員・ 上海支局長)
拙著『日中「冬の時代」の行方-国交半世紀の歴史から見る日中関係の現在地と出口』=写真=を花伝社(東京) より刊行し、9月7日に発売された。国交正常化以来、最も深刻な日中関係をどう乗り越えるか-高市首相の“ 台湾有事”発言以来、悪化した日中関係の背景を分析し、修復の道筋を提起した。

初訪中以来40年間、日中関係をライフワークに取り組んできた筆者としては、現状を座視するわけにはいかないとの思いに駆られた。幸い、旧知の出版社編集部長が主旨に賛同し、出版が実現。中国を理性的に捉える“知中派”の立場から執筆した。戦後80年余、日本と中国が戦火を交えず、平和的に関係を発展してきた-その「 不戦・ 平和」を将来にわたり維持・継続するのが、両国の共通目標であるとの考えが根底にある。
1972 年の国交当初から台湾がどう扱われたかの歴史的経過や日中関係の質的・構造的変化とともに、21世紀に入り靖国参拝問題と尖閣国有化の2回の対立をどう克服したかの詳細な分析に基づき、関係修復を論じた。
ジャーナリスト訪中団団長として21年間にわたる活動や、東海日中関係学会会長、日中両国の大学教授としての長年の調査研究を基に、日中関係や日本外交の在り方を問いかけた。客観的な事実関係と独自に入手した一次情報を基に、これまでの筆者の知見を総結集した内容である。
昨年11月の高市首相発言の直前に、たまたま筆者はジャーナリスト訪中団団長として北京で中国外務省高官たちと定期交流した。その際に、高官が台湾派で右派の高市首相を警戒しつつ、安倍晋三元首相に倣って高市首相に現実政治家への“君子豹変”を望んだ“秘話”も詳述。高市首相発言に関する国会議事録はじめ、日中国交正常化共同声明や日中平和友好条約、ポツダム宣言、カイロ宣言など重要外交文書の全文ほか、関連年表など資料を手厚く収録した。本書が日中関係を再考する“参考書”になれば幸いである。
以下は出版社による新刊案内である。
花伝社 新刊のご案内
『日中「冬の時代」の行方』
――国交半世紀の歴史から見る現在地と出口
(川村範行 著)
【本書の内容】
・高市首相の「台湾有事」発言以降、最悪の状態となった日中関係。現在の状況を1972年の日中国交正常化以降の半世紀の歴史に位置づけ、その意味と、これまでの日中関係史を教訓とした突破口を探る。
【本書の特長】
・研究者・ジャーナリストとして日中の交流に心血を注いできた著者ならではの人脈を生かした一次情報をもとに、踏み込んだ現状分析が展開されている。
・半世紀の日中関係を振り返って現在の状況をとらえ返すことで、事態を相対化して俯瞰する視座を獲得している。また同時に、現在の状況の深刻さも客観的に見ることができる。
・現在の日中関係を正確に把握し、中国がどう受け止めているのかを知ることは現状を打開する第一歩となる。著者は中国を理性的に捉える“知中派”の立場を自称するが、対中強硬派であっても傾聴すべき分析や提言に満ちた内容となっている。
・台湾有事発言以降、ビジネス上の障害が発生している民間層にも、現状を知るうえでお勧めできる。
・平易な記述を心がけており、前提知識がそれほどなくても理解できるようになっている。
【著者紹介】
川村範行(かわむら・のりゆき)
名古屋外国語大学名誉教授、愛知大学国際中国学研究所客員研究員。専門は日中関係論、現代中国論、東アジア関係論。日中関係学会副会長兼東海日中関係学会会長、国際アジア共同体学会副理事長、日中文化協会理事。1951年、岐阜県生まれ。多治見北高校、早稲田大学第一政治経済学部政治学科を卒業。1974年、中日新聞社入社。上海支局長、論説委員、社長室次長など歴任。2011~2021年、名古屋外国語大学外国語学部教授(特任)、2021 年より現職。元同済大学顧問教授、元武漢大学客員研究員。著書・共著に『大転換する世界』(花伝社)、『不確実性の世界と現代中国』『新次元の日中関係』『中国社会の基層変化と日中関係の変容』(以上、日本評論社)、『日中外交の黒衣六十年 三木親書を託された日本人の回想録』『ピンポン外交の軌跡』(以上、ゆいぽおと)など多数。
【書誌情報】
四六判並製、248 ページ、税込価格2,200 円、発売日:2026 年9 月7 日